配水池(溜め池)は、海と違って風波が小さく、また、うねりが無いので揺れにくいのです。また浮力による安定性が大きい為、強風でも傾斜角度が小さいのです。さらに、軟着低構造(多くの杭によっても支えられる)、すなわち、拘束されている浮体なので陸上の建築と揺れはあまり変わりません。
浮体基礎の中にあるバラストタンクの水の量で調整します。傾斜角度を感知して、浮体基礎が傾かないように自動的に調整するようにします。
軟着低構造(多くの杭によって支えられている)なので、仮に水が無くなっても、たくさんの柱で支えられ、ちょうど空中に浮かんだ状態となります。また、浮体が杭の上に載っても、杭の長さが短いので座屈して折れるような危険も少ないのです。
浮体基礎は直接水底に着底していない為、基本的に液状化による危険性はありません。液状化は、砂地でできた地面の上層部で起きやすく、土に含まれる水が分離され、水が上方向に押し上げられて起きる現象です。逆に、浮体を支える杭の場合、水圧で水底が固められ、杭の固定が強くなることでより安全に働きます。
水質の悪化を防ぐために、配水池(溜め池)の水は太陽光等の自然エネルギーを動力として動かす水車や噴水等でときどき水を掻き混ぜるようにします。また、水車や噴水は風情があり、人間の心を癒したりする効果も期待できます。
基本的には、水上都市のインフラは既存の都市インフラ(上下水道、電気、ガス、電話など)と繋げて利用します。ただし、水上都市に降る雨は、汚さないようにポリエチレン等の柔らかい材料で包み、汚れた水と混ざらないように水底に保存します。雨水は、生活水として活用できるようにするので水道水の使用を抑えられます。
電気防食を施すと、かなり長い期間錆びないので優れますが、費用の面で問題です。そこで経済性を考えると、数年に1度の頻度で、浮体基礎にペンキによる錆び止めを施す方が安上がりの上、浮体基礎底部の定期的な点検も実施できるので賢明と思われます。ペンキ塗りを行う場合、浮体基礎の周りを仮設の塀で囲い、浮体浮体周りの水を全て抜き、杭で支えられ空中に浮かんだ状態でペンキを塗ることになります。
浮体構造については、2000年に行われたメガフロート計画があります。
実際に、1000mの浮体を海上で接合し、浮かばせ、大型浮体構造物の実用性、安全性及び環境への影響がないことが確認されました。