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プロジェクト

水上都市の構想とプロジェクト紹介

まず都市における水供給の問題を根本的に解決するには、どうすればよいか。それには、もう一度、自然の水供給システムを見直してみる必要があります。基本的に、都市に必要な水は、丹保憲仁博士が提唱しているように、都市で使用する水は可能な限り都市近辺で供給すべきです。そのためには、一度使用した水を再利用することはもちろん、自然の水供給システムである雨水をできるだけ、海に放出させないことです。都心に降る雨水は貴重な水資源であり、できる限り同じ場所で確保、利用することが重要で、淡水は海には流さない水供給システムを考える必要があるのです。巨大な人工の池(配水池)を都市近辺に造成すると、その水は地下水として循環させることもでき、この地下水を汲み上げて使用できれば水道水を飛躍的に節水することも可能となるのです。

洪水対策については、従来、オランダ等の国が実施してきたような防潮堤などの大型土木建造物を建設することが一般的でした。しかし現在のように海面の上昇速度が速く、地球規模の気候変動の影響で局地的な大洪水が多くの場所で起こる状況では、すべての場所を安全にしょうとすると膨大な建設費が必要となります。また万が一このような大規模土木構築物が破壊すると多くの人命が瞬時に失われ、大惨事となる危険性が高いことは、3.11の東日本大震災でも我々は学びました。

本構想は、地盤面の低い危険な土地を掘削し、都市内にダム(配水池)を造ることで大量の水を確保・活用し、さらに水面上の空間を有効利用するため軟着底浮体方式(数多くの杭で重量の一部を支える浮体式構造)の人工地盤を配置、その上に自然災害に対し安全で持続可能な居住空間を確保しようとするものです。本構想は、2007年11月に首都大学で行われた「持続可能な都市環境をめざして」をテーマに東京都と環境省が後援して開かれた国際シンポジウムISSUE(International Symposium on Sustainable Urban Environment 2007)で初めて提案されました。そして2008年度、首都大学東京産学公連携センターの資金援助を受け研究が1年間実施されました。

水上都市の建設プロセスのイラストFig.1 水上都市の建設プロセス

建設プロセスは、以下のとおりです。

Step1 危険な低い土地面積の一部あるいは全部の土地を数メートル程度掘削する。
Step2 水深が海抜ゼロの状態になるように水を引込み人工の水域とする。
Step3 他で建造された浮体モジュールユニットを人工水域に運び繋ぎ合せて配置する。
Step4 最後に、浮体ユニット上に建物、道路などを建設する。浮体と陸地の間は橋で連結する。

  • 予めモジュールユニット化した浮体を工場で建造し、それを船で曳航して現地で設置します。
  • ユニット浮体は、必要により継ぎ足しや取り除きが可能な構造とします。
  • 掘削して生み出された土は、盛土により森林を造成したり、海岸では、海側に高台にして、津波や高潮の一撃を交わす役割を果たすことが期待できます。

また、浮体の位置保持としては、軟着底式構造物による浮体システムを採用します。本システムは、その重量の一部をゴムフェンダー等の緩衝材を介して数多くの杭の上に軟着底させて安定性をさらに向上させ、津波や高潮などによる異常な水面上昇に対しては、自然に浮上することで、都市の浸水を防ぐ構造とするものです。

一般には、一度に水域の造成のための広大な面積を確保することは困難です。その点で、本システムは、造成水域の面積は、初めから広大である必要はありません。建築規模レベルから、地区規模レベルさらには都市レベルまで、水域の面積はまちまちであり、それらは連結し拡大あるいは縮小していくことが可能となります。そして、水域を順次に連結していくことで共有の大きく効率の良い水域と成長できるのです。

水域造成と浮体設置のプロセス模式図のイラスト
Fig.2 水域造成と浮体設置のプロセス模式図

最後に、本コンセプトを基にした下記のプロジェクトを幾つか紹介します。

  • ケーススタディ1(江東区計画1)
  • ケーススタディ2(江東区計画2)
  • ケーススタディ3(荒浜プロジェクト)
  • ケーススタディ4(気仙沼プロジェクト)
  • ケーススタディ5(シンガポール 水上都市)
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