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水上都市の複合水供給システム

Fig.1 に示すように、造成された人工貯水池内の水質保全のため、住居群から出る使われた水は人工貯水池に放流される前に人工貯水池の傍に建設された水処理施設で浄化される。さらに、人工貯水池の水は、ポンプでかき回されることで水質を保つ工夫がされる。このポンプは、太陽発電で動かされる。そして、人工貯水池に浮かぶ浮体群上に降り注ぐ雨はすべて浮体下部に設置された巨大な容量の雨水タンクに蓄えられる。この雨水タンクは、フレキシブルで丈夫なゴムのようなメンブレン構造物で出来ているので安価に製造することが可能である。

水上都市の複合水供給システム
Fig. 1 水上都市の複合水供給システム

限られた生活水を効率的、持続可能なものにするために、中水を飲料水レベルの必要のないトイレットでの流す水、芝生にまく水、車の洗浄水などに用いる。水上都市の水供給システムは、複合水供給システムという新しいシステムで中水を有効利用することで飲料水レベルの水の使用が調理用など限られた量となり、持続可能な快適な社会を形作るものである。

日本における水道水の利用状況
Fig. 2 日本における水道水の利用状況(2007)

生活水は、飲料水から洗濯やトイレに用いられる水など幅広く使用されています。Fig.2 は、2007年の日本に於ける生活水の使用割合を示しています。この図から分かるように、生活水の多くは、飲料水レベルの水以外に使用されていることが分かります。そこで、丹保憲仁博士は、水道水とは別に中水の使用を提唱してきました。

次に、シンガポールの水上都市を建設した場合について、検討してみます。シンガポールの場合、毎年の降雨量を2,200mmとしますと、40ha の18棟の超高層の住居群の建つ浮体上に降る雨水は、一日当たり2,400トンになります。2009年のシンガポールの生活では、一人当たり1日155リットルとされていますが、これを水上都市の全住民48,400人という人口とすると、1日当たり約7,500トンの生活水が必要となります。水上都市の浮体上に降る雨を浄化して飲み水レベルの生活水にするとしますと、総浮体面積40ha の降雨量(1日2,400トン)で十分まかなえることになります。ただ、この水量には、途中で失われるロスは計算には含まれていません。一方で、人工貯水池に直接降り混ざり合った雨水は、飲料水レベルの水として1度使われた水と共に中水として、生活水に再使用される。このようにして、PUBから送水される水道水の水量は、大幅に削減できることになる。当然に、降雨量の少ない年では、PUBからの水道水に頼ることになります。

水上都市の住民の人口を48,400人とすると、飲料水レベルの水以外の生活水の水は、飲料水レベルの水(1日2,400トン)を使用した後の中水と人工貯水池の水を合わせた中水として利用することになります。そして、その水量は、毎日5,100トンになります。従って、飲料水レベルの水とそれ以外に使用する水を合わせた生活水の総水量は、一日で7,500トンとなります。

日本における水道水の利用状況
Table 1 シンガポールにおける毎日の水道水の利用配分(48,400人の場合)

最後にトイレで使用した水など、生活水の中水に浄化が難しい水は、最終的には、PUBのNEWater 施設に導水して、処理をします。

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