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浮体上にある超高層ビルの風による傾斜角度の算定

シンガポール水上都市の浮体上には、シンガポールの人口問題を解決するため、多くの住民が居住できるための背の高い超高層の住居群が建設される。一般に風の速度は高度が高くなるにつれ強くなるので、超高層の建物に加わる風荷重は極めて大きくなり、浮体の静的安定性能が重要となる。ここでは、強風の際の超高層の建物の傾斜角度などについて検討する。

Perspective View of Proposed High-density Water City in Singapore
Fig. 1 Perspective View of Proposed High-density Water City in Singapore

超高層の建物の高さは210m、幅は60mで、全体の質量は、529,200トン(1.2 tf/m2)となる。一方、135m四方の正方形の浮体のみの質量は、メガフロート計画で得られた質量から換算して、146,880トンとなる(0.167 tf/m3)。従って、総質量は、676,080トンとなるが、これに変動する質量39,420トンが加わり、これにより浮体の水面下の体積は、715,500㎥となる。

超高層住居の平面と立面の概念図
Fig. 2 超高層住居の平面と立面の概念図

超高層住居の断面図
Fig. 3 超高層住居の断面図

メタセンターの垂直方向の浮力点からの位置(BM)は、次式で与えられる。

また、矩形形状の浮体の場合、長さをL、幅をbとすると、断面二次モーメントは、以下の式で求められる(ただし、今回はb=L)。

得られたBM値とGM値(重心からのメタセンターの高さ)は、それぞれ348.2mと257.5mとなる。ここで、重心位置は浮体の底辺より103.3mである
 次に、105mの高度における最大風速を60m/s と仮定すると、3棟の超高層の建物に加わる風荷重は、163,976.4kN(建物の抗力係数を2.0とした場合)そして風による転倒モーメントは、17,217,522kNmとなる。
 転倒モーメントが復原モーメントと等しいとすると、その時の超高層の建物の傾斜角度φは、次式により得られる(ここで、Wは総重量である)。

従って、次式により、105mの高度の風速が60m/s の時の超高層の建物の傾斜角度は、0.55度と推測できる。

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