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シンガポール水上都市

ケーススタディ5(シンガポール水上都市)

シンガポールは、2つの大きな問題を抱えている。一つは、水不足そして人口増加による住宅地の不足である。さらに、低い土地がほとんどの国土は、地球温暖化による海面上昇がシンガポールを脅かしている。これらの問題を解決するために、我々は、シンガポール政府に対し、持続可能な水上都市を提案している。我々の水上都市構想の実現により水不足問題と人口増加に対応できる超高層の浮体式住居群の建設が同時に可能となることが期待される。

具体的には、海岸線沿いの土地を掘削して、数多くの大規模な人工貯水池を多数造成し、大量の雨水を確保する。そして、この人工貯水池上に、軟着陸ポジショニングで支えられる浮体式の超高層住居群を建設する。建築物が浮体式であるので、急な潮位差や豪雨などの増水には、浮力で浮上することで難を逃れることが可能となる。我々は、この水上都市の構想がシンガポールを危機から救える方法であると期待している。「シンガポール水上都市」構想の目指すところを以下にまとめる。

(1) 効果的に雨水を集水し、そして貯水できるシンガポールに有効な手法である。
(2) 効率的エネルギーシステムの導入を考える。
(3) 建築物と自然のエコな調和。ビオトープとの共存により、快適で質の高い生活ができる、自然を尊重して、水循環、自然エネルギーに配慮した計画とする。
(4) 気候変動に起因する災害に対する適応策として期待できる。低い土地は、海面上昇や大洪水、豪雨による洪水に配慮が必要である。
(5) 融通が自在な複合的水供給システムの導入。
(6) 市場原理に基づく計画とする。修繕やメンテナンスなどライフスパンを視野に入れたコスパを考える。主構造のリサイクルを設計段階から考慮するなど。

シンガポール水上都市の鳥観図
Fig. 1 シンガポール水上都市の鳥観図

「シンガポール水上都市」の構想は、大規模な雨水の集水と貯蔵そして再生水の活用により持続可能な水供給システムが可能となる。本計画は、平均の降雨量が年間2,200mmもあるシンガポールの雨量を最大限に活用するものである。 「シンガポール水上都市」の建設では、最適な場所を大々的に掘削して、多くの人工貯水池をいたるところで造成することを目指す。大量の掘削して出てきた土砂を低い土地に盛ることで、50m以上の高さの丘陵を造成することができる。この造成された丘陵に降る雨は土の中に浸み込み、時間をかけて下方に流れていき、やがては、人工貯水池に流れ込むこととなる。 また、掘削して出てきた土をコンクリート製の建造物に覆い被せることで、より多くの高い丘陵を造成することになる。この覆いかぶさった土により土の中の建築物は、自然の冷却効果が期待でき、エアコンによる電力消費量を大幅に削減することが可能となる。

造成された山の概念イメージ図(平面図、立面図)
Fig. 2 造成された山の概念イメージ図(平面図、立面図)

造成された山の内部の概念イメージ断面図
Fig. 2 造成された山の内部の概念イメージ断面図

水上都市の建設方法(断面イメージ図)
Fig. 4 水上都市の建設方法(断面イメージ図)

人工貯水池に軟着陸システムの浮体上に、水上都市の超高層の住居群が建設されることとなるが、この人工水域の面積は、約105.8ヘクタールの広さで、長さは2,190m、幅は483mそして平均の水深は25mである。 135m四方の正方形の形状をした浮体の建設は造船所のドックで造られ、この人口水域に曳航される。この人工水域に設置される浮体の総数は、18ユニットで、浮体の占有面積は40ヘクタールである。浮体上に51階建ての住居タワーが建設されるが、実際に住居になるのは48階で、人口は1棟で約2,700人を想定している。18棟全体の人口は、従って13,600世帯、約48,000人となる(人口密度はヘクタール当たり450から600人)。18棟の総床面積は、2,237,760㎡となる。

シンガポール水上都市の建設方法
Fig. 5 シンガポール水上都市の建設方法(平面イメージ図)

人工貯水池に浮かぶ浮体基礎上の超高層住居群
Fig. 6 人工貯水池に浮かぶ浮体基礎上の超高層住居群

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