平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、仙台市の沿岸部には9mを超える津波が襲い、すばらしい自然に恵まれたこの地が完全に破壊され、さらに地震により40~80cmも地盤が沈下しました。この場所を安全で快適な暮らしを取り戻すため、本構想による復興案を示します。まず、沿岸部の地盤沈下した土地(長さ800m、横幅600m)を5m掘削して水域化し、海水(淡水でも可)を入れます。掘削した土は、主として水域の海側に集め津波の力を直接伝えないための15m高さの土手造りに活用しますので、敢えて山を切り崩して土砂を採取する必要はありません。そして水面上に軟着底浮体を基礎とした生活空間を復活させるのです。浮体の周囲に建つ15mのコンクリート製のガイドレール柱は、水位の上昇により浮体が浮上した際に流されないためです。浮体の没水高さ(喫水)は浮体の長さに比べ極めて小さいため、流体力学的にはガイドレール柱に加わる津波の水平力はかなり少なくなります。水理学的に考えますと、津波が浮体下を潜り抜けることで津波の力を削ぐことが期待できるのです。
Fig.1 沿岸地域の水上都市の建設模式図
Fig.2 水面上昇とガイドレール
Fig.3 荒浜構想の鳥瞰図
[参考文献]
T. Nakajima, Tetsuya Shintani and M. Umeyama, “A New Concept for Lower-lying Land Areas and Coastal Villages Safe from Natural Disasters”, Oceans’11, 2011 MTS/ IEEE International Symposium, Kona, Hawaii, September 19-22, 2011
Nakajima, T.; Umeyama, M. A new concept for the safety of low-lying land areas from natural disasters. Journal of Ocean Engineering and Marine Energy, 1(1), pp 19-29, 2015
Nakajima, T.; Umeyama, M. Novel Solution for Lower-lying Land Areas Safe from Natural Disasters ? Toward Reconstruction of Lost Coastal Areas in Northeast Japan ?. Journal of Marine Science and Ocean Engineering, ISSN 2077-13121(1), pp 520-538, 2015